【平成29年の春の花粉症の情報です】

こんにちは。
たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの黒田です。
 
気温が上がり、雪解けも進んで、春の到来を感じるようになってきました。卒業や進学、転居や転職など、身の回りの環境も変わることが多く、何かと体調を崩しやすい季節です。
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A型インフルエンザはいまだに収束しておらず、一方で、春先に見られるB型インフルエンザの患者さんもいません。溶連菌による発熱・咽頭痛も、通常は冬場には収束するのですが、現在も尚、途切れなく流行しています。
 
  
さて、当院で春の花粉症と診断されている患者さんが、少しずつ来院されるようになっています。
「鼻水」「鼻づまり」「くしゃみ」「鼻のかゆみ」「目のかゆみ」が主な症状です。
苫小牧の花粉症の状況について、簡単にご説明させて頂きます。
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花粉の飛散情報は、道立衛生研究所のHPを見ると、札幌の状況が確認できます。残念ながら、苫小牧の情報は無いので、札幌の情報を参考にするしかありません。
例年、3月には花粉の飛散が始まるのですが、3/24現在、既に「ハンノキ」の花粉飛散が始まっております。
4月からの「シラカンバ」はまだ飛散していないのですが、花粉症の患者さんは、花粉飛散開始の情報よりも早く、鼻や目の症状が出ることがあります。花粉症の方は、周囲に飛散している極微量の花粉や粉塵などで反応して、鼻や目の症状が出ているのかもしれません。

それでは、春の花粉症について、少し詳しく解説させて頂きます。
 
まず、3月下旬から飛散が始まる「ハンノキ」の花粉症です。既にピークを迎えているようで、一気に飛散量が増えています。既に検査を受けて、「ハンノキ花粉症」と分かっている方は、この時期に発症することをご存知なので、既に治療を開始されています。
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    (道立衛生研究所のHPより)



そして、これに続いて4月中旬から始まる「シラカバ」の花粉症ですが、さすがにまだ飛散はしていません。
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但し、今年は例年に比べて、飛散量が少ないという予想が多いです。
以下は日本気象協会のHPからの引用です。
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(日本気象協会のHPより)
昨シーズンと比較して、50-70%と少なめが予想されています。

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ここ数年の平均と比較すると、飛散量は50%以下と、非常に少ないと予想されています。


あくまで予想ですので、実際の飛散量がどのようになるかは不明ですが、今年は花粉症の症状があまり出ないという方がいらっしゃるかもしれません。
また、前述の通り、花粉に飛散量の多い少ないに関係なく、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが出る方もいますので、例年通りの治療が必要な方も相当にいると思います。
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以前は、薬の効果が出てくるまでに日数がかかるため、花粉症のシーズンが始まる前から内服治療を開始することを推奨されていた時代がありました。
しかし、現在は即効性に優れた薬がたくさん開発されたため、発症後に内服し始めても、十分に効果が得られるようになりました。
いずれにしても、自分の体の特徴・体質を知っておくことが大事です。
「この時期のこの症状は、花粉症だな」と理解しておくと、わずかな鼻症状であっても、何が原因なのかを何となく予想できますので、早目に正しい治療を受けられます。花粉症の時期は、風邪と思い込まずに、アレルギーの可能性を考えて治療することが重要です。
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花粉症のときには、気道の過敏性が亢進して咳も出やすく、「アトピー咳嗽」と言われるような一度始まるとなかなか止まらない咳を合併することもあります。そして、鼻水が多くなると後鼻漏も増えるため、鼻汁による咳を伴って、さらに症状は悪化することがあります。
「後鼻漏(こうびろう)による咳」については、過去のブログをご参照下さい。
bnr-blog ←こちらをクリックしてみて下さい。

「鼻かぜでは無く花粉症かも」、「のどの風邪ではなく、花粉症に伴う咳かも」と考えてみても良いかもしれません。
咳がなかなか止まらない場合には、耳鼻咽喉科専門医でアレルギーの検査を受けていただき、結果によっては、咳止めを処方してもらうのではなく、アレルギーの治療を開始することで、大きく改善することもあります。
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また、小児の場合には、鼻水が出る状態が長く続くと「中耳炎」を合併することが多いため、しっかりと耳垢を取り除いて鼓膜を確認することが重要です。
中耳炎は軽症であれば薬を飲むことで改善しますが、重症化してしまうと、激しい耳痛、発熱、耳だれが出ることがあり、場合によっては鼓膜切開が必要になることがあります。
小さな子供は、耳の不快感があっても保護者に訴えることが出来ず、理由が無いのに機嫌が悪かったり、風邪薬を飲んでも熱がなかなか下がらない、といった兆候しか無いこともあります。
「鼻水が出ているし、もしかしたら中耳炎になっていないかな?」と考えてあげることが大事です。

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そして、小児、成人を問わず、「鼻水が続いているのでアレルギー」と決めつけずに副鼻腔炎の有無を調べることも重要です。
小児の場合、アレルギー性鼻炎患者の約50%が副鼻腔に異常があり、逆に副鼻腔炎患者の25~75%にアレルギー性鼻炎が認められると言われています。
色のついた粘り気のある鼻水が出たり、頬や眉間、目と目の間(鼻のつけ根辺り)に痛みや重苦しさがあれば、副鼻腔炎の可能性が高いと言えます。

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また、アレルギー性鼻炎が疑われる際には、鼻炎の薬でその場しのぎをするのでは無く、しっかりと検査をして確定診断をつけることが重要です。
当院では、花粉症を含めた成人用アレルギー検査の他に、小児の就学前アレルギー検査や、アナフィラキシーの危険がある食物アレルギーに対する「エピペン®」の処方も受け付けておりますので、遠慮なく御相談ください。
現在、小学校入学前のアレルギー検査を希望する方が、たくさん来院されています。小学校へ提出する書類への記載も行っておりますので、遠慮無く御相談下さい。入学前のアレルギー検査は、3月までに行うことをお勧めいたします。
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