花粉症が一段落して、ヘルパンギーナと手足口病が流行しています。

こんにちは。
たくゆう耳鼻咽喉科クリニックの院長 黒田です。

お子さん達は夏休みに入ったのではないでしょうか。
今年の夏は、からっと晴れる日が少なく、曇りや雨の日が多く、特に週末になると天気が崩れがちのような気がします。
苫小牧では、もうすぐ「第60回港まつり」が始まります。晴天のもとで、花火もお祭りも楽しみたいですね。
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さて、5月から始まっていたイネ科の雑草の花粉症が、ようやく終息してきました。今年は例年と比べてもたくさん飛散したことが分かります。
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(北海道立衛生研究所のHPより)

イネ科の雑草は、夏にたくさんの花粉を飛ばすので、アレルギーの3症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ)に加えて、目のかゆみを感じた人も多かったと思います。
当院で検査を受けて、「カモガヤ」のアレルギーと判明済みの皆さんは、自分の症状がアレルギーだと分かっていたので、早目に治療を開始して、ほとんど症状を感じずに快適に過ごせたのではないかと思います。
「カモガヤ」をはじめとしたイネ科の雑草は、9月にも花粉を飛ばすので、もう1回症状が出るかもしれません。初夏と秋にはイネ科の雑草アレルギーの可能性がある、と覚えておくと良いでしょう。春と秋の季節の変わり目には、いつも鼻の調子が悪くなる、という方は、実は「カモガヤのアレルギー」かもしれません。

下の写真は、イネ科の「カモガヤ」です。道端や公園に、沢山生えていると思います。自宅や職場の周りにたくさん生えている場合には、注意が必要ですね。
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この時期に鼻症状や目のかゆみが出るようであれば、一度耳鼻咽喉科専門医に相談の上、アレルギーの検査をして、しっかりと診断病名をつけて治療したほうが良いかもしれません。
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さて、今年の春先には「溶連菌感染症」に伴う扁桃炎や咽頭炎が大流行しました。のどの痛みは無く、発熱だけが症状だった人も多く、特にお子さんを持つ親御さんは、「風邪薬で様子を見ても治らないので、中耳炎かと思って来てみました」、という事が多かったです。

そして、今は溶連菌感染症が一段落して、今度は「夏風邪」が流行っております。
夏風邪と言えば、「ヘルパンギーナ」「手足口病」「咽頭結膜熱」の3つが有名です。
ヘルパンギーナは、主にコクサッキーA型ウイルスによる感染症ですが、その他のウイルスが原因となることがあります。
麻疹や風疹、水痘とは異なり、一度罹患しても何度でも繰り返することがあります(原因ウイルスが複数存在するために、終生免疫を得るのが難しいからです)。
多くは38-39℃の高い発熱が主な症状です。
下の写真の様に口蓋垂(のどちんこ)の周りに水疱(すいほう)を認めることで、診断されます。
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 大人や、子供でもしっかり口を開けてくれる場合には、このようにはっきりと確認できます。
 

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これは別の患者さんです。扁桃炎だと思うとのことで来院されましたが、扁桃には異常が無く、ヘルパンギーナの診断となりました。扁桃に近い場所の病変なので、自覚症状だけでは区別が難しいですね。
 

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乳児だと、十分に症状を訴えることも出来ず、口を開けてくれないので、分かりにくいこともあります。しかし、しっかり開口すると、口蓋垂の周りに粘膜疹があるのが分かります。
 

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幼児だと、のどが痛いと訴えてくれる場合もありますが、発熱と食欲低下のみで症状がはっきりしないこともあります。
 

「手足口病」でも同様の所見が見られますが、手足口病ではその名の通りに手や足などの全身に皮疹が出ることが特徴です。
「ヘルパンギーナ」と診断されても、後になってから手足に皮疹が出てきたために、「手足口病」と診断名が変わることも少なくありません。

どちらも特効薬というのはありませんが、高熱があれば座薬や内服薬などでの解熱を行い、十分に水分を摂取して、安静にすることが大事です。
発熱は3日程度で落ち着くことが多いので、心配はありません。
また、感染を防ぐためには、手洗いやうがいをこまめに行うことが重要です。

保育所や幼稚園で流行することが多く、罹患した子供が家庭内でさらに感染を広げてしまうことがあります。
診断を受けた場合には、マスクをつけて、更なる感染を広げない様にしましょう。特に小さな乳幼児が家庭にいる場合には、お兄ちゃん・お姉ちゃんから感染をもらわない様に、保護者の方が注意することが必要です(風邪症状のある子供には、手洗い・うがい・マスク装用をさせましょう)。
これらの夏風邪は、大人ではあまり見られませんが、罹患した子供さんのいる家庭では、免疫力の低下した大人にうつることもあります。ヘルパンギーナの子供さんを看病したお父さん・お母さんは、要注意ですね。

夏風邪症状でお困りの際にも、耳鼻咽喉科専門医へご相談ください。