「経鼻インフルエンザ生ワクチン」って?

こんにちは。
院長の黒田です。

 一気に気温が下がってきました。
苫小牧は、相変わらず降雪量が少なく、今年は例年の半分程度ということで、道路のアスファルトが雪や氷で覆われることがほとんどありません。
今、この原稿を書いている最中に雪が降り出しましたが、ちらほらといった感じで、いまだに除雪は必要なさそうです。
このまま一度もスコップを使わず済むと良いのですが、、、。

 さて、幼稚園・学校の冬休みが終わりました。
年末年始に風邪をひかずに体調の良かったお子さんも、幼稚園や学校で風邪をうつしたり、うつされたり、ということで体調を崩しやすくなっています。
また、子供さんの風邪を家庭で大人がうつされたり、そうでなくとも気温が下がってきましたので、とかく体調が悪くなりやすい時期です。
外出時にはマスク、帰宅したら手洗いとうがいをするのが、一番の風邪予防法だと思います。

 皆さんご存知かと思いますが、新年スタートと同時に、札幌でのインフルエンザに関するニュースが飛び込んできました。
国立感染症研究所は1月6日、北海道札幌市の患者6人から2013年12月27日までに検出されたインフルエンザウイルスが、タミフルやラピアクタといった抗ウイルス薬に耐性を持っていると発表しました。
但し、タミフルが効きにくい半面、リレンザやイナビルといった別の薬剤は効果が確認されており、大きな問題にはなっていません。

 そして、苫小牧市でもインフルエンザの罹患者数が増えてきています。
当院でも、学校が始まった1/20以降、検査によってインフルエンザA型が検出される患者さんが増えています。
インフルエンザを普通の風邪として治療していると、場合によっては幼稚園や学校、職場や家庭に流行を起こしてしまう可能性もありますので、発熱を伴う風邪症状の場合には、お気軽にご相談ください。
小さなお子さんの場合には、インフルエンザを疑って受診されても、実は急性中耳炎ということもあります。子供は耳の症状を言葉で上手に訴えることができないので、鼓膜に異常が無いかを確認することも重要です。

私は、流行の状況をこちらのページで確認しています。
全ての患者さんが報告されているわけではありませんので、実際の患者数はこれよりも遥かに多いのですが、流行の目安として利用させていただいております。

http://ml-flu.children.jp/table_city.php?num=1&start_date=2014-01-18&end_date=2014-01-24
(MLインフルエンザ流行最前線情報DBのHP)

http://www.nih.go.jp/niid/ja/flu-m/813-idsc/map/141-flu-map.html
(国立感染症研究所のHP)

インフルエンザの予防接種ですが、本当に効くの?という声があります。
確かに、現在日本で行われている不活化ワクチンの皮下注射では、感染自体を防ぐことはできません。
インフルエンザウイルスを鼻や口から吸いこみ、これらの粘膜を経由して感染を生じるのですから、粘膜レベルで免疫力を上げておかなければ、感染自体を防ぐことはできません。

海外では、アメリカのMedImmune社 が、経鼻の生ワクチンを製造販売しており、アメリカでは2003年にアメリカ食品医薬品衛生局(FDA)が認可を出して使用開始となり、ヨーロッパでは2011年から認可されています。
日本ではまだ承認されていないため、「未承認の生ワクチン」の扱いです。未認可の生ワクチンなので、国産不活化インフルエンザワクチンのような副作用や合併症に対する補償はありません(日本医薬品医療機器総合機構の補償 )。何か副作用が生じたとしても国の補償はなく、基本は自己責任での接種 となります。日本の製薬会社や薬卸会社では在庫も販売もしていませんので、輸入代行会社を通じて個人輸入した生ワクチンを、患者さんが自己責任で接種するという状況です。
ポリオワクチンと違うのは、「不活化ワクチン」→「生ワクチン」、「皮下接種」→「鼻腔へ噴霧」という違いです。

経鼻ワクチンは国内未承認のため、製薬メーカーのホームページも英語版のみです。
動画を見ると、噴霧のイメージは分かると思います。

https://www.flumistquadrivalent.com/consumer/index.html
(MedImmune社のHP)

従来の不活化ワクチン皮下接種と、生ワクチンの経鼻噴霧の違いは、以下のページにも掲載されているので、参考にされるのも良いかと思います。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/influvaccine.html
(横浜市衛生研究所HPより引用)

経鼻生ワクチンの方が、現在の不活化ワクチンの皮下接種よりも全ての面で優れているかというと、そうではありません。メリットとデメリット、経鼻生ワクチンの副作用を十分に理解した上での接種が必要です。
http://trendstyle96.net/archives/3134
(TREND STYLE HPより引用)

当院では、国内で安全性が確認、承認されるまでは使用する予定はありません。
また、不活化ワクチンの皮下接種は、当初の予定通り1月末日をもって終了いたします。2月以降は希望があっても接種ができません(1月に1回目の接種を行った方の2回目接種が2月になる場合にのみ、2回目の予約と取り置きを致します)。在庫が少なくなってきたため、今後の接種は完全予約制となりますので、お電話か受付窓口でお問い合わせいただきますよう、宜しくお願いいたします。